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ウイルスの種類と家庭での消毒方法

新型コロナウイルスの拡大により家庭でも消毒や除菌の意識が高まりつつあります。
しかしながら、新型コロナウイルス以外にもインフルエンザウイルスやノロウイルス、RSウイルスなど私たちの身の回りには常にさまざまな種類の感染症が存在します。

そこでこの記事では、主なウイルスの種類とその消毒方法をご紹介します。
ご家族が感染してしまった・・・などの状況に備えて知識を持っておけば“いざ”というときも安心です。

1.ウイルスは大きく分けて2種類

ウイルスにはたくさんの種類がありますが、これらは大きく2通りに分類されます。
ポイントは、そのウイルスにタンパク質の膜があるか、膜がないかです。
膜があるものをエンベロープタイプ、膜がないものを非エンベロープタイプといいます。

タンパク質はアルコールのダメージを受けやすいので、エンベロープタイプはアルコールで消毒できる可能性が高いウイルスといえます。
反対に、タンパク質の膜のない非エンベロープタイプは、アルコールのダメージを受けにくく、アルコール消毒剤が効きにくい傾向にあります。

用語を覚える必要はありませんが、それぞれ効果のある消毒剤が違うことは理解しておくといいでしょう。

エンベロープウイルス(エンベロープタイプ)

  • 新型コロナウイルス
  • インフルエンザウイルス
  • ヘルペスウイルス
  • B型やC型肝炎ウイルス
  • 風疹ウイルス
  • エイズウイルス
  • RSウイルス 等

ノンエンベロープウイルス(非エンベロープタイプ)

  • ノロウイルス
  • ロタウイルス
  • ポリオウイルス
  • アデノウイルス 等

2.主なウイルスと効果のある消毒方法

ウイルス主な感染経路主に有効な消毒方法(モノ・環境面の拭き取り)
新型コロナウイルス飛沫感染
エアロゾル
・次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.05%濃度)
・アルコール消毒液(75%~95%濃度)
インフルエンザウイルス飛沫感染
接触感染
・次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.02%~0.1%濃度)
・アルコール消毒液(70%濃度~)
ノロウイルス経口感染
接触感染
・次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.02%~0.1%濃度)
ロタウイルス経口感染
接触感染
・次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.02%~0.1%濃度)
RSウイルス飛沫感染
接触感染
・次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.02%~0.1%濃度)
・アルコール消毒液(70%濃度~)

表を見ると、次亜塩素酸ナトリウム水溶液ならば、ほとんどのウイルスに効果があることが分かります。家庭での日々の消毒剤として活用したくなりますが、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は
・金属腐食性があるので、ドアノブなどへの連続の使用は避けたほうがいい。
・酸性のものと混ぜると有毒なガスが発生するので取り扱いに注意が必要。
といった性質があるので、日常的に使う消毒剤としては難しい面もあります。

日々の消毒はアルコール消毒剤を使用して、家族にノロウイルスやロタウイルスの症状が出たら、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に切り替えるという方法がいいでしょう。

3.ロタウイルスとRSウイルスの特長

今回ご紹介しているウイルスのうち、ロタウイルスとRSウイルスは聞いたことがないという方もいるのではないでしょうか。聞き慣れないかもしれませんが、比較的身近にあるウイルスで、特にお子さんがいらっしゃる方にとっては注意が必要なので、ここで特長を紹介します。

ロタウイルス

3~4月の春の時期に流行するウイルスで、感染すると、嘔吐、水っぽい下痢、発熱などの症状が現れます。
0〜6歳の子どもが感染しやすく、5歳までにはほぼ全員が感染すると考えられています。
乳幼児が初めて感染するときに、特に重い症状が出る傾向があり、脱水症状などになることもあります。
ロタウイルスは、感染者の便と一緒に排出されたウイルスが、手やものを介して口に入ることで感染を広げます。

RSウイルス

呼吸器の感染症で、日本を含め世界中に分布しています。
何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の乳幼児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています。
症状としては、軽い風邪様の症状から重い肺炎までさまざまです。
初めて感染発症した場合は重くなりやすいといわれており、乳期、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)にRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあります。そのため、乳児期早期(生後数週間~数カ月間)のお子さんがいらっしゃる場合には、感染を避けるための注意が必要です。

4.家庭での有効な消毒方法

ご家庭でウイルスを消毒する場合はまず、「掃除」と「消毒」を分けて考えることがポイントです。
通常の掃除での「掃く」「拭く」ではウイルスを不活性化することはほぼできません。
「消毒」の場合は、「拭く」ではなく「拭き取る」ことを心がけましょう。
反対に、消毒だけでは一般的な毎日の汚れをきれいにすることはできません。
多少手間はかかりますが、高い効果を得るためには、「掃除をした後に消毒」という手順がベストです。

用意する道具

  • ペーパータオル
    ※乾式用・湿式用でそれぞれ2枚

  • 消毒薬
    ※薄めた次亜塩素酸ナトリウム(ボトルなどに入れたもの)またはアルコール消毒液

  • マスク、使い捨て手袋

  • エプロン

  • ゴミ袋

消毒の手順

  1. マスク、使い捨て手袋、エプロンを着用します。
  2. 窓を開放して換気をしてください。
  3. ペーパータオルに消毒剤をしっかりと染み込ませます。
    ※引火や吸引、腐食の恐れがあるので消毒液は空間やモノへ直接吹きかけないでください。
  4. 図のように、同じところを拭かないようにして、ゆっくりと動かして拭き取っていきます。
    ※高いところ⇒低いところ 奥⇒手前 の順で。
  5. 消毒液で濡れたペーパータオルで対象物を拭き取った後に、乾いたペーパータオルで乾拭きします。
  6. 一箇所拭くごとにペーパータオルはゴミ袋に破棄して、ゴミ袋を密閉してください。
  7. 全ての作業が終わったらマスクと使い捨て手袋も同様に破棄してエプロンは洗濯します。
  8. 最後に手洗いを忘れずに。

消毒するポイント

  • 各部屋のドアノブ

  • トイレ全体

  • 洗面台周り

  • 照明スイッチ

  • リモコン

  • 食卓テーブル、椅子

  • スマートフォン

5.まとめ

ウイルス感染症は、家族のうち一人でも感染者が出ると、他の家族にも感染する恐れが非常に高まります。家族を守るために、家庭内で感染症対策をすることが重要です。

家庭内でできる対策としては、今回ご紹介した家庭内の消毒と同じくらいに、家の中にウイルスを持ち込まないようにすることも大切です。帰宅時の手洗い、うがいは徹底していると思いますが、ルーティンに加えていただきたいのがスマホの消毒です。オフィスで、満員電車で、食事中、あるいはトイレのなかでも操作をするスマホは、ウイルスが付着している可能性が高いといわれています。アルコールティッシュなどで本体を優しく拭くだけで構いませんので、スマホの消毒も帰宅時の習慣に入れるといいでしょう。

コロナウイルス感染症の家庭でできる対策としては「拭き消毒」のほかにもう一つ大きな効果を期待できる対策があります、それが「換気」です。床や畳に落ちたコロナウイルスは、換気をすれば空気の流れに乗って外に出ていきます。これだけでもエアロゾル感染を回避できる確率は高くなります。
目安としては、1時間に2回以上、1回あたり5分以上、ドアや窓を開け放して換気をしてください。ドアや窓を2か所以上、できれば対角線上の2か所を開けるようにすると一層効果が期待できます。

今回は、ウイルスの種類と家庭での消毒方法についてまとめました。必要以上に接触することに神経質になる必要はありませんが、家族が健やかに暮らすために、できることから取り入れてみてはいかがでしょうか。

(注意事項)
※この記事は、最新の研究や論文に基づいて記載していますが、消毒の方法については、さまざまな解釈や意見があります。使用に関しては、ご自身の判断で選択してください。

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