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新型コロナウイルスの消毒って結局何を使えばいいの?

2022年7月からの第7波とされる新型コロナウイルス感染拡大で、過去最多の新規感染者数となりました。10月に入り落ち着いたのも束の間、冬の寒さを向かえるとその勢いは再燃し第8波到来が懸念されています。

日常生活、家庭内でも改めて消毒の重要性が報じられていますが、さまざまな市販製品があって、正直どれをどこに使えばいいの?と迷うことも多いかと思います。

そこで今回は、消毒と除菌の意味の違いや、その方法を分かりやすく紹介します。それぞれ目的にあった製品を正しく選び、正しい消毒・除菌に役立てていただければ幸いです。

1.消毒と除菌は意味が異なる

除菌と消毒は似た言葉ですが意味は違います。まずは2つの違いを理解しましょう。

「消毒」とは、菌やウイルスを無毒化することです。「薬機法」に基づき、厚生労働大臣が品質・有効性・安全性を確認した「医薬品・医薬部外品」の製品を使う必要があります。

「除菌」は、菌やウイルスの数を減らすことです。「医薬品・医薬部外品以外の製品」を使用することになりますが、実際には一部の洗剤や漂白剤など細菌やウイルスを無毒化できる製品もあります。

「医薬品・医薬部外品」の「消毒剤」であっても、それ以外の「除菌剤」であっても、全ての菌やウイルスに効果があるわけではありません。新型コロナウイルスに有効な製品は一部なので、その点に注意が必要です 。

2.新型コロナウイルス消毒・除菌一覧

現在、一般的に新型コロナウイルスへの消毒・除菌方法は以下が代表的なものです。

種類モノ手指市販製品の薬機法上の扱い
次亜塩素酸ナトリウム水溶液
(塩素系漂白剤)
×「雑品」
(一部の製品は医薬品)
アルコール消毒液「医薬品」・「医薬部外品」
次亜塩素酸水-(未評価)「雑品」
界面活性剤
(手指用以外の洗剤)
-(未評価)「雑品」
(一部の製品は医薬品)
石鹸による洗浄
熱水(80℃ 10分間)×

3.次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)

モノへの消毒は0.05%濃度の次亜塩素酸ナトリウムの使用が、現在最も一般的な消毒・除菌方法の一つです。

「ハイター」や「ブリーチ」といった商品名でおなじみの家庭用の塩素系漂白剤には、次亜塩素酸ナトリウムが含まれ、「次亜塩素酸ナトリウム消毒液」を作ることができます。

ただし、以下の点に注意してください。
・人体には使用しない、飲み込んだり吸い込んだりは特に注意。
・酸性のものと混ぜると有毒な塩素ガスが発生します。
・金属製の材質に私用すると腐食させるおそれがあります。
・あらかじめ汚れを落としてからの使用を推奨します。

(参考商品)
花王/ハイター(衣料用漂白剤)
https://www.kao.com/jp/products/haiter/4901301017246/

4.アルコール消毒液

手指への消毒・除菌に対しては濃度75%~95%のエタノールが有効です。
モノの消毒の有効性も確認されており、拭き清掃にも使えるで、ご家庭にあれば活用範囲は広いといえるでしょう。

よくエタノールとアルコールの違いが分からないという声を聞きますが、エタノール(別名:エチルアルコール)はアルコールの一種です。アルコール消毒液といわれるものは、一般にこのエタノールを使用した製品を指します。

注意点
・製品を購入する際は、裏面の成分表示を見て濃度を確認すること。濃度75%~95%がおすすめですが、60%台でも消毒に有効という報告もあります。
・引火性が強いので火気の近くでの使用や空間噴霧は絶対にしないでください。
・あらかじめ汚れを落としてからの使用を推奨します。

(参考商品)
健栄製薬/消毒用エタノールIPA
https://www.kenei-pharm.com/general/products/消毒用エタノールip「ケンエー」/

5.次亜塩素酸水

次亜塩素酸ナトリウムと似た用語ですが別物です。次亜塩素酸を主成分とする酸性の溶液で、こちらもモノへの消毒・除菌として有効です。
0.008%以上の濃度で有効とされ、消毒したいモノを十分な量の次亜塩素酸水でヒタヒタに濡らした後、清潔な布やペーパータオルで拭きとって使用します。

次亜塩素酸水には製法がいくつかあり中には曖昧な市販品も存在します。食塩水や塩酸を電気分解して食品添加物(殺菌料)に指定されたものもあり、これは食品加工における野菜の洗浄などにも使われます。

また、次亜塩素酸ナトリウムを原料にしたものも販売されていますが、これには規格や基準がなく、成分がはっきりしないものもありますので注意が必要です。また、「pHを調整した次亜塩素酸ナトリウム」と称して販売する例もあり、これも本来の消毒・除菌効果が保証されない可能性があります。

注意点
・他の製品と併用をさける。
・紫外線に弱いため遮光性のボトルや冷暗所で保管する。
・購入時に主成分をよく確認する。 ※成分によっては人体に影響する可能性があります。

(参考商品)
森友通商/弱酸性次亜塩素酸水「モーリス」
https://jokinmorris.com/items/

6.界面活性剤(手指用以外の洗剤)

界面活性剤は市販されている家庭用洗剤の主成分で、ウイルスの膜を壊す作用で無毒化します。
※くわしくは「ウイルスの種類と家庭での消毒方法まとめ」をご覧ください。

検証結果により新型コロナウイルスに有効とされる界面活性剤の種類と濃度は以下の9種類なので市販品購入時に主成分確認をしてください。
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.1%以上)
・アルキルグリコシド(0.1%以上)
・アルキルアミンオキシド(0.05%以上)
・塩化ベンザルコニウム(0.05%以上)
・塩化ベンゼトニウム(0.05%以上)
・塩化ジアルキルジメチルアンモニウム(0.01%以上)
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル(0.2%以上)
・純石けん分(脂肪酸カリウム)(0.24%以上)
・純石けん分(脂肪酸ナトリウム)(0.22%以上)

7.石鹸による洗浄(手洗い)

最も大切なウイルス対策は、手や指についたウイルスを洗い流すことだとされています。多くの医療施設が石鹸による手洗いの重要性について発表しています。
手や指に付着しているウイルスの数は流水による15秒の手洗いだけで1/100に、石鹼やハンドソープで10秒もみ洗いし、流水で15秒すすぐと1万分の1に減らせます。
※石鹸による手洗いの後、さらに消毒液で手指消毒をする人を見かけますが、その必要はないとされています。

(商品例)
Reckitt Japan/薬用石鹸 ミューズ
https://www.musejapan.jp

8.熱水の使用

熱水での消毒は、最も確実とされる消毒方法の一つであり、食器などに用いられることが多くあります。80℃以上の熱水で10分間さらすようにしてください。

9.まとめ

今回は、新型コロナウイルスの消毒に関して、市販製品の種類や消毒方法について分かりやすく解説してきました。新型コロナの日常的な消毒作業においては、消毒・除菌剤の選び方や使用方法など、正しい知識をもって適切な方法で行うことが重要です。

ドラッグストアやスーパーには、さまざまな消毒・除菌用製品が並んでいますが、選ぶ際にポイントとなるのは成分濃度です。中にはパッケージ表面5.次亜塩素酸水で「除菌」「抗菌」「衛生」「除菌○%」とうたっていても実際には濃度が十分でなく、効果を得にくいものもあります。製品裏面の表示を見て、成分や濃度を確認してから購入するようにしましょう。

また、「2.新型コロナウイルス消毒・除菌一覧」をご覧いただくと分かるように、アルコール消毒はモノにも手指にも有効なので、ご家庭に一つあると便利です。その場合も、濃度を確認して、濃度75%〜95%のエタノール(60%台でも有効との報告はあります)を選びましょう。モノへの使用方法としては、清潔な布やペーパータオルに含ませて拭き取るのが最も間違いなく、しかも簡単な消毒・除菌のやり方でおすすめです。

(注意事項)
※この記事は、最新の研究や論文に基づいて記載していますが、消毒・除菌の方法については、さまざまな解釈や意見があります。またご紹介した製品や方法は、新型コロナウイルスを完全に除去できることを保証するものではありません。使用に関しては、ご自身の判断で選択してください。

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