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水害のあとに気をつけたい家庭での感染対策

~発生しやすい感染症と家庭でできる予防法~

近年は集中豪雨や台風による水害が全国各地で起こっており、住宅が浸水したり、断水や停電で普段どおりの生活ができなくなったりするケースが増えています。水害のあとには、家の中や周辺が不衛生になり、感染症にかかるリスクが高まります。今回は水害のあとに起こりやすい感染症と家庭でできる対策をまとめました。


水害後に起こりやすい感染症とは?

胃腸炎(ノロウイルス・細菌性下痢症など)

水道水や食べ物が汚れてしまうことで、下痢や嘔吐を引き起こす病気です。特に小さなお子さんや高齢者は重症化しやすいので注意が必要です。

レプトスピラ症

泥水や冠水した水に含まれる菌が、皮膚の小さな傷から体に入って感染します。発熱や頭痛、筋肉痛が出ることがあり、重症になると入院が必要になる場合もあります。

破傷風

片付け作業でケガをしたときに、土の中にいる破傷風菌が傷口から入り込むと発症します。口が開きにくくなったり、筋肉がけいれんしたりするのが特徴です。

呼吸器の感染症(風邪・インフルエンザ・肺炎など)

避難所など人が集まる場所では、咳やくしゃみによって感染が広がりやすくなります。


家庭でできる感染対策の基本

1. 清潔な水を確保する

  • 浸水したあとの水道水は、水道管が破損し汚染されている可能性があります。安全か判明するまではそのまま飲まず、必ず一度沸騰させてから使いましょう。
  • ペットボトルの水や給水所の水があれば、飲み水や調理用に使いましょう。
  • 井戸水は、専門の検査で安全が確認できるまで飲まないことが大切です。

2. 食品の扱いに注意する

  • 水につかった食品や、停電で長時間冷蔵庫に入っていた食品は捨ててください。もったいないと思って食べてしまうと、食中毒の原因になります。
  • 調理する前や食事の前には、必ず石けんでしっかり手を洗いましょう。
  • 食器や調理器具は、熱湯や消毒液で殺菌してから使うのが安心です。

3. 手洗いと消毒を徹底する

  • トイレのあと、食事の前、掃除や片付けのあとには、必ず流水と石けんで20秒以上の手洗いを。
  • 水が少ないときは、アルコール消毒液を併用すると効果的です。

清掃と乾燥の徹底

  • 浸水した家屋は、大量の水で泥や汚れを十分に取り除いた後、しっかり乾燥させてから消毒を行うことが基本です。乾燥が不十分では消毒効果が薄くなります。
  • 熊本市の事例では、塩化ベンザルコニウムや次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液を使い、希釈して使用することを推奨しています。

1.消毒と衛生管理

  • 食器類は水洗い後、0.03% の次亜塩素酸ナトリウムに5分以上浸して自然乾燥させましょう。
  • 家具・家屋などは、汚れをしっかりと流水で洗った後に0.1% 塩化ベンザルコニウムで消毒し、よく乾かします。

2.片付け作業のときは体を守る

  • 泥や汚れの中には菌がたくさん含まれています。必ずゴム手袋・長靴・マスク・長袖を着けて作業しましょう。
  • ケガをしたらすぐに流水でよく洗い、消毒してください。深い傷や汚れが落ちない場合は、早めに病院を受診しましょう。
  • 破傷風ワクチンを受けていない人や接種から10年以上経っている人は、医師に相談することをおすすめします。

3.消毒剤が手に入らない場合の工夫

水害時に塩化ベンザルコニウムが手に入らない場合は以下の方法で代用できます。

  • 家庭用漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を薄めて代用
    • 食器類:水で約1,000倍に薄めて5分浸け置き
    • 床や家具:水で約500倍に薄めて拭き掃除
  • 金属製の食器は煮沸消毒(1分以上沸騰させる)
  • 手指や小物にはアルコール消毒

※漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)は金属を錆びさせたり布を脱色したりするため、必ず使用方法を守りましょう。

4.行政による消毒剤の配布を確認する

大規模な水害が起きたときには、市役所や保健所が無料で消毒剤を配布してくれることがあります。
たとえば熊本市や大阪府では、過去の災害時に「次亜塩素酸ナトリウム水溶液」や「逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)」を配布しました。

👉 水害後は、市役所や役場、避難所の掲示板、自治体のホームページを確認し、配布の有無をチェックしましょう。


避難所や家庭での呼吸器感染症対策

  • マスクを着用し、咳やくしゃみはティッシュや肘で口をおさえる。
  • 部屋はできるだけ換気し、湿度を保つ。
  • 発熱や下痢などの症状があるときは、周囲に感染を広げないよう、早めに医療機関へ相談しましょう。

まとめ

水害のあとには、普段ならかからないような感染症にかかるリスクが高まります。災害はいつ起こるかわかりません。水害が心配される地域では今のうちから家族で対策を話し合っておきましょう。

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